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人生も後半戦

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

小説の書き出しが難しい 空飛ぶタイヤ 池井戸潤

 小説を書こうと筆をとる、あるいはパソコンを立ち上げるが、なかなかすすまない。
 特に書き出しがうまく決まらないで悩んでしまう。
 人気のある小説は引き込まれていくような書き出しで憧れる。
 いつか自分もそんな引き込まれるような小説を書きたいと思い、憧れる書き出しをここに残していきます。

 池井戸潤さんの空飛ぶタイヤです。
 この書き出しだけで涙が出そうになってしまいます。この涙が出そうな感情がこの小説の肝のような気がします。

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空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤

君は、静かな人でした。
にぎやかなお酒の席で、自分からは騒ぐことないけど、いつも楽しそうにニコニコしながら、冗談いってる友達を見てる。幸せそうな君を見ていると、ぼくまで満たされた気分になったものです。
ぼくが悩んでいるときは、いつも一緒にいてくれた。つらいときには映画に誘ってくれた。「がんばってね」っていうんじゃなくて、沈んでいるぼくの手をずっと握って寄り添ってくれる。そんな温かい人でした。
ぼくは今も、そんな君が大好きです。
いつだったか、公園で紙ヒコーキ飛ばしたの覚えてますか?
結婚したばかりの頃でした。ほら、あの頃住んでたマンションの近く、高台にあった公園。新聞の折り込み広告でつくった紙ヒコーキを飛ばしました。
遠くへ飛ばそうと、君もぼくもがんばったのに、なかなか飛ばなくて大笑い。それなのに、どういう拍子か、君のヒコーキが風にのって、遠くまで飛んで見えなくなって……。
「飛んだ、飛んだ!」
あのときの君の歓びようといったらありませんでした。そして……。
そして、君はこういいました。
「私たちも、あんなふうに遠くへ飛べるかな」
あのとき見せた君の笑顔は、ぼくの宝物です。
永遠の宝物です。なのに……。
ぼくが駆け付けたとき、君は病室の白いシーツに包まれて横たわっていました。