小説を楽しんでプラス

主に私が作成した超短編小説(ショートショート)を記事にします。ほかにお気に入りの小説を紹介します。

小説表現方法

小説を読もう「夏美のホタル 森沢明夫」

夏美のホタル 森沢明夫ヤスばあちゃんを先頭にして、白亜のビルへと歩き出す。自動ドアを抜けるとすぐに、総合病院独特の臭いが鼻をついた。いろいろな薬品と、病に冒された人々の体臭が入り交じったような臭いだ。ぼくは夏美の細い背中をそっとさすった。す…

小説を読もう「夏美のホタル 森沢明夫」

夏美のホタル 森沢明夫書き出しコト……。 工房の時代めいた薪ストーブが幽(かす)かな音をたてた。 重なりあって燃えていた薪が崩れたようだ。 ストーブの前で丸くなっていた黒猫の夜叉(やしゃ)が、目と閉じたまま耳だけをピクリと動かした。 深閑として冷え込…

小説を読もう「ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海」の言葉表現

ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海 ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在…

小説を読もう「疾風ロンド 東野圭吾」の言葉表現

疾風ロンド 東野圭吾 極秘の生物兵器が盗まれ、三億円を要求されていた泰鵬大学医科学研究所長東郷だが、犯人の葛原は事故で死んでしまう。三億円は必要なくなったが、早急に生物兵器を見つけださないと多くの死者を出してしまう恐れがある。 生物兵器の隠さ…

小説を読もう「ダブル・ジョーカー柳広司」言葉表現

小説が好きで、好きな表現をの仕方まとめただけの資料です。 柳 広司 KADOKAWA 2012-06-22 売り上げランキング : 108667Amazonで購入Kindleで購入楽天ブックスで購入楽天koboで購入 ebookjapanで購入 by ヨメレバ書き出し廊下の足音が部屋の前で止まり、襖が…

小説を読もう「半落ち 横山秀夫」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。茶柱が立った。 ゲンを担ぐほうではないが、無論、悪い気はしなかった。神棚のわきの壁時計は五時四十分を指している。まもなくだ。夜明けと同時に、懐に逮捕状を呑んだ強盗犯捜査一係が『小森マンション…

小説を読もう「半落ち 横山秀夫」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。 「そんなことは言っとらん!」 伊予は突如沸騰し、巨体を前のめりにして中尾を睨み付けた。「東洋新聞の阿久津は俺のT大の後輩だ」 床を蹴りつけるようにして席を立った。ー馬鹿野郎! そんなもんが脅し…

小説を読もう「真相 横山秀夫」の言葉表現

「真相 横山秀夫」の表現をまとめただけの資料です。 書き出し 篠田佳男は灰の伸びた煙草をくわえ、自分のデスクで目を閉じていた。五秒でも十秒でもいい、ゆうべの夢の続きが見れないものか。半分は本気で考えていた。 佳彦……。 昨夜の再会は数瞬だった。照…

小説を読もう「降霊会の夜 浅田次郎」の言葉表現

「降霊会の夜 浅田次郎」の表現をまとめただけの資料です。 しばしば同じ夢を見る。 たそがれどきであろうか、あたりは橙色のうら悲しい光にくるまれており、私は見知らぬ女に導かれてひたすら歩んでいる。 どこへ行くのだ、と訊ねても答えはない。しかし行…

小説を読もう「仮面同窓会 雫井脩介」の言葉表現

「仮面同窓会 雫井脩介」の表現をまとめただけの資料です。 美郷は小さくうなずき、それから光を取り戻した瞳を洋輔に向けた。 「でも、洋輔くんもそういうとこあるよね」彼女はくりっとしたアーモンド形の目に高校時代の瑞々(みずみず)しさを今も残していた…

小説を読もう「13階段 高野和明」の言葉表現

小説が好きで、気になった表現をの仕方まとめただけの資料です。 それからしばらくの間、声を発する者はいなかった。波の音だけがかすかに聞こえていた。 やがて、視線を落としていた南郷が、「お気の毒でした」と言った。「それだけじゃないが、もちろん大…

小説を読もう「13階段 高野和明」の言葉表現

小説が好きで、気に入った表現を仕方まとめただけの資料です。 「顔を上げなさい」やがて光男が言った。その震える声には、憤怒を必死に押さえている努力が窺えた。「そちらの謝罪はゆっくり聞こう。中に入りなさい」それから十分後、純一はようやく、佐村製…

小説を読もう「プラチナデータ 東野圭吾」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。 プラチナデータ (幻冬舎文庫) 東野 圭吾 (著) プラチナデータ プラチナ・エディション ブルーレイ 【初回限定版】 【ブルーレイ】 すると彼女は再び笑った。丸い頬の上で、目が細くなった。ゆっくり…

小説を読もう「火の粉 雫井脩介」の言葉表現2

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。 火の粉 雫井脩介 (著) 「これはこれは」口の端を歪めた独特の笑顔で野見山が近づいてくる。「どうしてまたそんなことを?」 野見山はもどかしいほどゆっくりした喋り方で訊く。 ただ、その眼つきに油断…

小説を読もう「火の粉 雫井脩介」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。 火の粉 雫井脩介 (著) 「ええ、十時くらいですか」紀藤はかすかな緊張感を言葉尻ににじませて答えた。「その時間からよく散髪屋が開いてましたね」 勲が言うと、紀藤の口から弛緩した息が洩れた。頭の後…

小説を読もう「書店ガール3 碧野圭」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。 無言のまま積み重なっていく嘆きは、こころの奥深くに沈殿し、ゆっくりとその人を蝕んでいく。市川は口を一文字にして考え込んだ。市川にしたら面倒な提案だったかもしれないと思った理子は、すぐに言葉…

小説を読もう「コーヒーが冷めないうちに 川口俊和」の言葉表現

小説表現をの仕方 コーヒーが冷めないうちに 川口俊和 男は再び下唇を突き出すと女から目線を外し、黙ったまま何も答えなかった。冷めて、ただ甘いだけのコーヒーは女の気分をさらに鬱々と沈めていく。目の前のコーヒーカップを上手く避けながらフニャフニャ…

小説を読もう「旅路を死神 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 「俺は人を殺しに行くんだぞ」 「ああ、それか」 「ああ、それか」森岡は眩暈(めまい)を感じるかのように、黒目を忙(せわ)しなく動かした。「何だよそれ。あんた、驚かねえのか?」 「子供の頃、お前を逃がしてくれた。それ以降…

小説を読もう「旅路と死神 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 黒い髪は耳にかかるくらいで、細く吊り上がった目は爬虫類に近い。 数時間前、水戸を越えたあたりで定時のニュースが流れた。森岡は無表情のまま、若干誇らしげに、若干苦しげに、「これ俺のこと」とラジオを指差した。昨晩、渋…

小説を読もう「恋愛で死神 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 「おはようございます」荻原が挨拶をした。見ればその前に、先ほどの女性が立っていた。彼女はゆっくりと、首だけで振り返り、「あ」とも「ああ」ともつかないぎこちない声を出して、「おはようございます」と答えた。儀礼的なも…

小説を読もう「吹雪に死神 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 朝の六時過ぎであるが、太陽の位置も分からない。 「さっぱり晴れねえし、気が滅入るからカーテン閉めろよ」と後ろから声がした。英一という名前の、三十代の男だ。銀縁の眼鏡をかけ、樽を腹に入れたような肥満な体型をしている…

小説を読もう「死神と藤田 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 若者はそのセーターの首まわりをぐいぐいと引っ張ってくる。降り止まない小雨で、路上に水溜まりができていたらしく、私はそれを踏んだ。足元で、地面が舌なめずりをするかのような音を鳴る。 「おまえ、栗木の居場所を知ってる…

小説を読もう「死神の精度 伊坂幸太郎」の言葉表現

死神の精度 伊坂幸太郎 (著) 頭上の雲は黒々とし、隆々(りゅうりゅう)とした筋肉を思わせる膨らみがある。 雨が垂れていた。激しい勢いではないが、その分、永遠に降り止むこともないような粘り強さを感じさせる。 地下鉄の階段の手前、屋根のある部分に足を…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 「それは、ありません。少なくとも、一般的な手法に則った鑑定を行っているということは申し上げておきます。それはいまさら疑問を差し挟む余地のないものです…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現5

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 「赤松社長ですか?」 電話の声は、固く閉じ合わさった貝殻を思わせた。「ホープ自動車の沢田です」「初めてお目にかかります。部長代理の野坂と申します」 男…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現4

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 中村は頭の回転が速い。話の中から問題の本質だけをこすフィルターが付いているような反応だ。「構いません。検討していただけますか」 赤松は思わず膝を乗り出…

小説を読もう「アドラー 一歩踏み出す勇気 中野明」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。「アドラー一歩踏み出す勇気」は広告代理店に勤める松田勇二がカラ爺というメンターからアドラー心理学をベースにした「7つのステップ」を実践していくことで成長していく物語です。 読んでいるあなたも…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現3

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 「そういえば、横浜の事故は大丈夫ですか」と。 面を上げて専務を、一瞥した井崎は、テーブルの反対側にいる狩野と三浦を窺った。ぽんと肩を叩かれて紀本には激…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現2

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 小茂田から笑顔が消えた。厳しい表情で手元のレポート用紙にボールペンを走らせ、説明する赤松の声と重苦しい筆到の音だけが室内で重なりはじめる。小茂田は渋…

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。 ぼくが駆けつけたとき、君は病室の白いシーツに包まれて横たわっていました。 「ママ寝てるの?」 タカシにきかれて、ぼくはそのちっちゃな手をシーツの中の君…