小説を楽しんでプラス

主に私が作成した超短編小説(ショートショート)を記事にします。ほかにお気に入りの小説を紹介します。

小説を読もう「空飛ぶタイヤ 池井戸潤」の言葉表現

f:id:sujya:20180620194528j:plain

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤

小説が好きで小説家の表現の仕方をまとめただけの資料です。

「それは、ありません。少なくとも、一般的な手法に則った鑑定を行っているということは申し上げておきます。それはいまさら疑問を差し挟む余地のないものです。ただ、ーー」
ふと秋山は、全員の視線を受けたまま間を置いた。

「業務上過失致死傷じゃないのかね、君」
長瀬はそういったのだ。
尻を蹴り上げられたような気がした。
凍りついたように面を上げた捜査員たちの表情に活気がみなぎっていく。会議場に一本、全員を束ねて離さない芯が通った瞬間だった。

赤松がなんだと思う間もなく、慌ただしく社長室に入ってくると、テレビのスイッチを点けた。
正午のNHKニュースだ。
旧型テレビのブラウン管が像を結びはじめる。
「こ、これー見てください、社長」
弁当を食っていたのか宮代の口から米粒がいくつか飛び出した。刹那、アナウンサーの発した、「ホープ自動車」という言葉に、赤松は横っ面を張られたように視線を振る。

赤松の中で何かが弾け、視界は音もない銀幕に塗り固められた。無数の微粒子が物凄いスピードで飛び交い、過ぎ去っていくと再びテレビ画面とアナウンサーの声が戻ってくる。