小説の書き出しがうまく決まらないで悩んでしまう。
人気のある小説は、最初から引き込まれていくような書き出しで憧れる。
いつか私もそんな引き込まれるような小説を書けるようになりたいと思い、私が気に入った小説の書き出しをここに残しています。
死神の精度 伊坂幸太郎 (著)
ずいぶん前に床屋の主人が、髪の毛に興味なんてないよ、と私に言ったことがある。
「鋏で客の髪を切るだろ。朝、店開けてから、夜に閉めるまで休みなく、ちょきちょきやってるわけだ。そりゃ、お客さんの頭がさっぱりしていくのは気持ちいいけどよ、でも、別に髪の毛が好きなわけじゃない」
彼はその五日後には通り魔に腹を刺されて死んでしまったのだが、もちろんその時に死を予期していたはずもなく、声は快活で生き生きとしていた。
「鋏で客の髪を切るだろ。朝、店開けてから、夜に閉めるまで休みなく、ちょきちょきやってるわけだ。そりゃ、お客さんの頭がさっぱりしていくのは気持ちいいけどよ、でも、別に髪の毛が好きなわけじゃない」
彼はその五日後には通り魔に腹を刺されて死んでしまったのだが、もちろんその時に死を予期していたはずもなく、声は快活で生き生きとしていた。