小説を楽しんでプラス

主に私が作成した超短編小説(ショートショート)を記事にします。ほかにお気に入りの小説を紹介します。

小説を読もう「コーヒーが冷めないうちに 川口俊和」の言葉表現

小説表現をの仕方

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

男は再び下唇を突き出すと女から目線を外し、黙ったまま何も答えなかった。

冷めて、ただ甘いだけのコーヒーは女の気分をさらに鬱々と沈めていく。

目の前のコーヒーカップを上手く避けながらフニャフニャとテーブルにつっぷした。

平井が二美子のつっぷすテーブルの向かいに座って、その他のルールを嬉々として説明していた。

集めた小銭を数の手のひらに無造作に握らせた。

コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

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沈んでいた空気に少し隙ができた。

テーブルと椅子の間にゆっくりと体を滑り込ませ、そして、腰を下ろした。

高竹は、無駄にコーヒーをカチャカチャとかき回しながらニコニコとしている。

高竹は、数がやって見せたように、指を使って封筒の大きさを宙に描いた。

悲しげにつぶやいて、首が折れそうなほど深くうなだれた。

引き戸に手をかけると、鍵はかかっていなかった。ガラガラと音を立てて三和土(たたき)に足を踏み入れると、ぞくりとするほど中はひんやりしていた。

長くなったタバコの灰が音もなく落ちた、それに気づいた平井が、
「……はい、終わり」
と、言って、タバコの火をもみ消した。

「平井さん……」
と、計が何か言いかけたが、平井はそれを手でさえぎり、
「だから、そうやって暗い顔して、大丈夫ですか? とかって聞くのもなしね

妹の面倒をよく見る、しっかり者の姉。それが小学生の平井を表す枕詞となった。

流が糸のように細い目を湾曲させて、「なに? ちゃんと結婚できてるかどうか、確かめたかったって事?」

「ただい……」
ま、と言おうとしたところで、例の席に座る少女に気がついた。

数は(じゃ、誰に会いに来たのかしら?)と顎を人差し指でトントンと叩きながら考えた。