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人生も後半戦

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

小説を読もう「プラチナデータ 東野圭吾」の言葉表現

小説が好きで、表現をの仕方まとめただけの資料です。

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プラチナデータ (幻冬舎文庫) 東野 圭吾 (著)

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すると彼女は再び笑った。丸い頬の上で、目が細くなった。

ゆっくり楽しみなさい、という水上の声を背中で受け止めながら、リュウは部屋を出た。

水上はゆっくり瞬き(まばたき)した後、首を振った。

「大変な仕事を任されましたね。私にできることがあれば、何でもおっしゃってください」
水上の申し出を聞き、浅間は煙を吐いてから頭を下げた。

「さらに奥に進んでVIPルームのインターホンで呼びかけましたが、何の応答もありません。念のためにノックもしましたが、同様でした。そこで試しにドアの把手(とって)を回したところ、鍵がかかっていなかったのです」富山は一旦言葉を切り、唇を舐めてから続けた。「で、ドアを開け、二人の遺体を発見したというわけです」

「先生はたしか、脳神経科……でしたよね」浅間は水上の鷲鼻を見つめた。

穂高という四十歳ぐらいの人物だった。小柄だが、姿勢がいいので堂々と見える。やや顎を上げ気味にして話す顔つきにも自信がみなぎっているようだった。

志賀は、そんなことは大した問題ではない、といわんばかりに首の後ろを揉んだ。

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「では、早速そのように手配してください。極力急ぐようにと」
志賀は不承不承といった様子で電話を取り出し、どこかにかけ始めた。Dプレートなるものを作成する部署のようだ。

浅間は頬の肉が強張るのを感じた。全身が熱くなっていた。
「それ、どういうことですか」机に両腕をつき、椅子に座った木場を見下ろした。「もう一度いってください。意味がよくわかりません」
木場は苦々しい顔つきで舌打ちした。

木場は面倒くさそうに顔の前で手を振った。

「システムですか」浅間はいった。
「何ですか?」志賀の口調が少しだけ乱れたように感じられた。

空気清浄機と排煙装置がフル稼働していたが、狭い室内の空気は白く濁っていた。浄化される以上に浅間が煙を吐き出すからだ。

「そうだ。お前も何か飲めよ。今夜はもう戻らないんだろ」
「しゃあ、ギネスでも貰おうかな。で、浅間さんのほうはどうなんです。何か成果はありましたか」
浅間は下唇を突き出し、ロックグラスを振った。グラスの中で氷がからからと鳴った。

「いい加減にしろ」再び木場の声が飛んできた。「俺だって、詳しいことは知らされていないんだ。与えられた任務を遂行することだけを考えろ」
浅間は木場の垂れた頬を見つめた。腑抜けのあんたはそれでいいのだろうが、といいたいのを我慢し、志賀と那須に視線を戻した。

浅間は机を叩き、勢いよく立ち上がった。志賀を睨み付けた後、くるりと踵を返した。
「任務拒否か。浅間」那須が尋ねてきた。
浅間は、ふっと息を吐いてから振り返った。
「やりますよ。暮礼路市に向かえばいいんでしょ? すぐに準備をします」

「行くぞ、もう列車の手配は済ませてあるんだ。三十分で支度をしろ」そういうと那須たちに一礼し、そのまま会議室を出ていった。
浅間も志賀と那須を一瞥した後、木場を折った。

「待てよ。どこへ行くんだ」
問いかけに応じず、彼女は部屋を出ていった。ばたん、とドアが閉じられ、かすかに埃が舞った。

「警視庁捜査一課から来ました木場です。こっちは部下の浅間です」
よろしくお願いします、と浅間がいったが、北峰は面倒臭そうに手を横に振った。
「問題の人物は、まだ見つかっていない。発見し、確保したら連絡する。それまでは、どこかに待機していてくれればいい。誰か、二人を宿に案内するように」

壊れた門をくぐり、短いアプローチを通って正面玄関に近付いた。扉に取り付けられた錆びた把手を掴み、ゆっくりと引いてみると、低い軋む音をたてながら開いた。