建物、街の表現、描写
ホテルのすぐ横にある巨大な劇場は、空に定規を当ててすっと線を引いたような造りだった。
コペンハーゲンの警察は、巨大な冷蔵庫のような真四角の建物だった。正面から見ると、灰色のコンクリートの塊。ほぼ一ブロックを占めており、どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
でかい家だ。鉄扉の向こうにも道路が続き、家自体は鬱蒼とした木立の中に隠れている。
アパートはラブホテルが軒を連ねる通りに、見向きもされない落とし物のようにひっそりと建っていた。壁は汚れ、外階段の手摺は赤く錆びている。軒下には洗濯機が三台並んでいて、その中の一台は稼働中だった。
到着して見上げると、雨粒を浴びながら、大きなコンクリートの塊が夜空に向かってそびえ立っていた。電気がついている部屋は半分ほどだ。
街並みは住宅地の色が濃いが、巨大なコンクリート高架がどこか風景を大味に見せている。
二階建ての建物は、一階部分の半分がシャッターで、小さい玄関ドアはえんじ色のペンキで塗られており、小窓から明かりが漏れて、笑い声が聞こえる。
「しばらくそこに泊まってますから。俺に用事があったら、ここへ来れば会えるよ」
彼の指先を延長すると、そこには夜空に向かって鉛筆のように細く立ち上がる建物があった。
行き交う車のヘッドライトが細い線を作り、新宿の夜景に縞模様を作った。
街のネオンが目を焼く。錦糸町は、上野から東の都内では最大の繁華街といっていい。消費者金融の巨大な看板、パチンコのネオン看板、雑居ビルにパズルのようにはめこまれた飲食店。