小説を楽しんでプラス

主に私が作成した超短編小説(ショートショート)を記事にします。ほかにお気に入りの小説を紹介します。

小説を読もう「ラプラスの魔女 東野圭吾」の言葉表現2

東野圭吾の小説が好きで特に表現のしかたに憧れています。そんな表現をまとめただけの資料です。

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ラプラスの魔女 (角川文庫) 著者 東野圭吾 (著)


那須野はホームに降り立った。予想したよりも寒くはない。冷たい風が、少し火照った顔に心地よいほどだった。

「すみません。自分は詳しいことは聞いてないんです。とにかく那須野さんを駅まで迎えに行けといわれただけで」
「ふうん、そうなのか。じゃあ仕方ないな」
「すみません」前を向いたまま、女は小さく頭を下げた。

那須野は体の位置を変え、ルームミラー越しに女の顔を確認してみた。眼鏡をかけた目元しか見えないが、なかなかの美人のように思える。鏡の中で女と目が合った。「何か?」訊いてきた。
いや何でも、と那須野は体勢を元に戻した。

ダウンジャケットのポケットから煙草とライターを出した。一本をくわえ、火をつけようとした時だ。
温泉の臭いがした。
よくいわれる、卵の腐ったような臭いというやつだ。
温泉地だから当たり前か  ぼんやりとそう考えた直後、口から煙草が落ちていた。