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人生も後半戦

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

田中経一小説を読もう「愛を乞う皿」

愛を乞う皿 田中経一

鬼才と呼ばれ、怪物と恐れられた北大路魯山人。そのミステリアスで壮絶な一生を魯山人とゆかりの深い人物の証言をもとに解き明かしていく。。
魯山人が生涯に残した仕事は多岐に亘る。一方、天才ゆえの傲慢さ、横柄さは周囲の友人、恩人、家族を傷つけ、遠ざけてきた。病床に寄り添うのは平野雅章ただ一人だ。
平野は医師から魯山人は年を越せるか微妙な状態だと告げられる。
平野は魯山人のために最期に何が出来るかと考え、魯山人から自分の伝記を書いてほしいと頼まれたことを思い出す。
魯山人が生きている間に魯山人とゆかりの深い人物を探しだし魯山人の過去を調べることにした。そして孤独な魯山人に最期くらいそのゆかりのある人物に会わせたいと思う。

皿が料理を乞うている
まるで君が愛を乞い続けたかのように
しかし、皿の上に料理が
もう二度と盛られることがないと悟った時
その皿は一層の輝きを見せた。

作品中で気に入った、なるほどと思った言葉
北大路魯山人が細野燕台から金沢から東京に戻る時にもらった言葉

「では最後に、こんな話しておくわいね。中国では蟹のことを昔から何というか知っとるか?」
「いえ」
「"横行君子"と呼ぶ。これはな、蟹は誰が何と言おうと横にしか歩かん。その姿から、決して権力におもねることがない君子という意味で、その名前を授かったという訳や。ちなみに、蓮は、"花中君子"と言うがいね。蓮も泥に出でて泥に染まらずということで、おんなじ意味や。これから君は我が道を行き、横行君子でいたらええ」

作品中で気に入った、なるほどと思った言葉
魯山人の作った茶室「夢境庵」で茶会が行われた。茶会の主人燕台が調えていた掛け軸は牛の水墨画で右上に「黒牡丹」と題が書かれていた。魯山人が牛の絵なのにどうして「黒牡丹」なのかと尋ねた時の応え

「昔、支那のある地方に、黒い牛を放牧して生計を立てている小さな村があった。ある時、一人の村人が牡丹の種を蒔いたところ、放牧地やもんやさけ、土地が肥えており見事な花が咲いたそうや。そしたら他の村人も、けなるがって(羨ましがって)みな牡丹の栽培を始めた。それを聞いた人々が牡丹の見物に遠いところからわんさか来るようになり、村は一気に観光地になった。そして、村人は黒牛を飼うのをやめて、牡丹を観光化することに一生懸命になったんや。ところがある年、村に天災地変が起こり、牡丹が一瞬にして全滅してしもうたそうや。村人は意気消沈し、元からやっていた黒牛の放牧が最も適した仕事だったと再認識して、目先の華やかさに心を惑わされないことを反省したという。こんな話から『黒牡丹』が牛の異名になったがや」

愛を乞う皿 田中経一

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