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人生も後半戦

人生も後半戦になったら、これまでの生き方に後悔することもあります。しかし、後悔しても仕方ない。この先楽しく生きるためにいろんなことに挑戦

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あらすじ
昭和の未解決事件、グリコ森永事件をモデルにした物語です。ドキュメントのような迫力があり、フィクションなのか、ノンフィクションなのかわからなくなる感覚でした。
グリコ森永事件をリアルに知る世代にとっては、特に面白いと思います。
グリコ森永事件について、調べてみたくなりました。

テーラーを営む曽根俊也は、父の遺品からノートとカセットテープを見つける。ノートは英語で書かれ内容がわからなかったが、カセットテープには子供の声が入っていた。内容は「ギン萬事件」の犯人グループが子供を使って身代金の受け渡しを指示するという恐ろしいものだった。俊也はなぜ、こんなものがあるのかと驚いたが、それ以上に驚いたのは、その声が自分の幼い頃の声だったことだ。
「ギン萬事件」は関西中心に起こったキツネ目の男の犯人グループが大手食品メーカー社長誘拐や恐喝をする一連の事件だ。
父がこの事件に関わっているのか、カセットテープに残る自分の声が犯罪に使われたのか、俊也は、それを調べることにした。
阿久津英士は大日新聞の記者。未解決事件の特集で「ギン萬事件」を担当する。そのために事件について調べ始める。最初の頃は取材は空振りが続き前に進まなかったが、ひとつのネタから繋がって、当時の写真や音声を手にいれる。
そして、曽根俊也と阿久津英士が繋がった時、展開は大きく動き出す。

書き出し
 腹の底に響くような鈍い唸りが、雑音をかき消した。
 長いアイロン台に広げた生地は落ち着いたグレーで、控えめな艶がある。曽根俊也は霧吹きを手に取り、生地の状態を目で追いながら、リズムよく水をかけた。
 胸回りに厚みがあって、ウエストにはきっちりと絞りが入るーー頑固でいて慎ましい男くさいスーツ。それでこそブリティッシュスタイルだ。多くの客が軽くて着心地のいいイタリア生地に軍配を上げるが、俊也は流行り廃りに興味を示さない英国スーツに気品を感じる。