「でも、私はそういう取り組みも興味を持ってもらうきっかけになれるならいいと思うんです。日頃からふざけてたら困りますけど、日頃はきちんとやってますから、いつ見に来ていただいても真剣に業務に取り組んでいる姿をお見せできますから」
「確かに、無関心ではPRのしようがありませんね」
リカの相槌に我が意を得たりとばかり頷いた。
「そうなんです。愛の反対は無関心っていいますよね。無関心って一番救いようがない状態かと思うんですけど、我々の社会的な基本ステータスってそこなんです。必死でその状態から国民の皆さんに気づいてもらおうと手を振ってるわけで」
「……でも、また新しい志を持ってらっしゃるので羨ましいです」
その呟きはあながち口先だけでもなさそうで、空井は思わず神妙になった。 ーーそういえば、この人も志を折られた口だったなと思い出す。
懇親会で大虎の美女と化したとき、記者職を失った悔しさを延々訴えていた。なりたいものに手が届いて、届いたと思うや失われたことは同じと言えるかもしれない。
「あの……記者という職を失ったんじゃなくて、ディレクターという職を新たに得たって考え方はどうでしょうか」
「俺も似てるっちゃ似てるんで他人事と思えなくて。でも、自分はパイロットじゃない、自分はパイロットじゃないって思ってるより、これから広報官になれるんだって思った方がいいなって。だってパイロットの頃ばっかり振り返ってたら、僕の人生って、三十手前にしてもう余生じゃないですか」
「有事に果たすべき義務があるということは、それだけで拠り所になります。辛いことがあったとき、自分にできることがあるだけで人って救われるでしょう? だから僕たちは被災者を支援しながら、自分自身を救ってもいるんです」
「でも、僕らがちゃんと広報しないと、隊員の活動は外部に伝わらないんです。被害者を出動の実績にしないために広報活動はあるって僕は比嘉さんに教えられてたのに」