おすすめ! 森沢明夫小説を読もう ヒカルの卵
ヒカルの卵 森沢明夫
書き出し
鶏舎の採卵箱や止まり木にこびりついた白い糞を、丁寧にこそぎ落としていく。手にしているのは金属の小さなヘラだ。ゾリゾリ、ゾリゾリ……。
きれいにさっぱりこそぎ落としたら、床に落ちた糞を箒でそっと掃いて一ヶ所にまとめ、それをゴミ袋に入れて口をしばった。
「ふう……。やっとこさ終わったなぁ」
ひとりごちて、深いため息をつく。
あらすじ
限界集落と言われるほど田舎の村。養鶏家の村田二郎は、この村に革命を起こそうとしている。それは自分の養鶏場のたまごを使った、たまごかけご飯の専門店を村にオープンさせることだった。
もっとたくさんの人にたまごの美味しさをわかってほしい。そんな思いから、この計画を決意した。そして、それをきっかけに村に人が集まり、活気が戻ってほしいと願う。
村田二郎は人懐っこく優しい性格で、いつも村のことや村人のことを考えている。
このたまごかけご飯の店も、村のため、村で暮らす人たちのためを考え、自分の養鶏場を担保にいれてまでやろうとしている。
しかし、周囲の人は、二郎の気持ちを理解出来ないで反対する者、冷めた発言をする者もいた。
しかし、周囲の反対を押しきりオープンさせる。果たしてその店の運命はどうなるのか。
村田二郎の人柄の良さがほのぼのとして癒されます。そんな二郎の人柄のおかげで、村の人たちも、たまごかけご飯専門店を反対しながらも、心配して応援してくれる。登場人物がみんな優しく愛情たっぷりの物語。
森沢明夫さん作品らしい、心温まるほっこりした作品です。読み終わったあと、気持ちよくなってください。